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第 3 章

CALSの概要と現状


 

第2章で見てきたように、行政における文書管理の現状では、文書量が膨大である、管理ルールが統一されていないなど、様々な問題の要因があることがわかった。その解決策として最も注目されているのが情報技術を活用した文書管理の改善である。そこでここでは、特に情報の共有・活用という面で注目されているCALSという考え方や、技術について、その概要、及び定義、背景、動向、技術、効果という6つの側面から捉えることを試みた。

 

3−1 CALSの概要

 

CALSはもともとはロジスティックスの改革を目的としたものであった。CALSでは情報を電子化し共有・活用するという考え方をもとに、品質、コスト、業務スピードの改善を狙っている。又、CALSは考え方だけではなく、技術や標準などを体系化している。CALSが従来からの情報技術と違う点は、ユーザにとって最適な情報環境は何かという視点から考えられている点である。ベンダー主体ではなくユーザ主体の考え方なのである。

 

CALSは一般にContinuous Acquisition and Life-cycle Supportの略称であり、アメリカの国防総省におけるロジスティックスの改革から発祥したものである。ロジスティックスとは一般に、補給(兵站)に関わる製造・流通・事務管理全体にわたる業務・技術をさすとされている。しかし、その後CALSの概念は広がり、国防の領域からアメリカの産業界さらには世界的な動きに発展している。

CALSとは考え方だけではなく、データベースやEDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)、ネットワークなどの技術や標準データを体系づけるなどを、様々な領域を含んでいる。CALSを一言で説明することは難しく、人や組織によって様々な捉え方をされている。ここではCALSを出来るだけ網羅的に捉えたい。

 

 

 

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